うちから歩いて橋をこえて、隣の駅に繋がる商店街に入る
なんの変哲もない、大して面白くもないが地元の生活に根ざしたような商店街で、その中にしょぼんと佇む、古本屋がある。
うちへかえろうと、そそくさとその商店街から逃げるように歩いていたのだが、目の端に何か強烈なイメージがひっかかり、足を止めざるを得なくなった。
画集だろうか、誰の画集かしらん、と近づいて確認をした。
表紙をみるとざわざわっと心が動いた。
なんだろう、特別上手であったり、奇抜であったり、お洒落であったりするのではなく、すごく正直で、見る側にちゃんと伝えてくる絵。
「山下清の絵本」
この本をさんざんひっくり返して、表紙をめくって、裏表紙をめくった所で、500、という鉛筆書きがあったので買う事にした。
500円だ。
店に入ると小柄な主人が、スーツをきた若い男性と対峙をしていた。
借金返すまでにいきてるかわかんないよ
ここハンコを押して本当にだいじょうぶ?
大丈夫です。ちゃんと読んで下さいよ
という興味深い話に「この本下さい」と割りいって、私は書籍を購入した。
店を立ち去るわたしの背後で
今日はなんだか忙しいな、はは(他に客はいない)
というまたしても興味深い会話に後ろ髪ひかれながらも、さっさと家に帰った。
山下清
裸の大将
おにぎり
というイメージしかなかったので、その絵をちゃんと見たのは今回が初めてかもしれない。
そしてびっくりした。
なにこれ、深くてかわいい!!ふかわいい!!
真剣に描いている部分は上手なので、あえてヘタウマ的な、漫画的な雰囲気をだしているのでしょう。たぶん。
この崩している雰囲気が、現在はやりのイラストレーションの方向と、共通する感じが有る。
つうかこれ、この
「かわいい きれい たのしい」
というライトな気持ちと同時に
「なんか心にせまってくる 目が離せない」
という感じ、私が目指している感じ!!
なんだ、私は裸の大将だったのか!
という結局の勘違いで閉幕とする。
では!
[3回]
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私はおむすび食べたくなった。