今回は、作品づくりとは全く関係のないお話。
わたし、スポーツジムでアルバイトをしているのですが、スポーツジムといっても、運動したくてしょうがない人達が集まる訳じゃありません。
ダイエットしたい人、健康でいたいひと、老後の余暇をつぶしたい人、鍛えたくてしょうがない人、興味本位の人、色んな人達が集まって営業されています。
しかも、いろんな客層が一つ箇所に集まる訳です。
OLも高校生も、会長も、キャプテンも。
どうやら腰をいためてしまったようで、いつも腰にコルセットを巻いているおじいちゃんがいました。
おじいちゃんは、近寄る私に沢山話してくれるのですが、あまりに滑舌が悪くて何をいっているかわかりません。
でも、私は職業柄、聞いている振りをするのは得意です。
まあ、話している本人にとっては、話し相手が理解しているのかどうかなんて一目瞭然なんでしょうが、なんとなく会話になっているように話を聞くのが得意なんですね。
そうとう滑舌が悪いなかでも、聞き取れる言葉はいくつかあります。
それをつなげていけば、おじいちゃんの話題も、何となく見当がついてくるんです。
どうやら、おじいちゃんは、もともと船長さんだったようで、海という海を航海していたらしいです。
北朝鮮はいまいったらあぶないだろうな とか、英語は簡単だ とか、中国語はまあ話せる とか、結構、色々してきたようで。
パスポート見るか?
と、突然ロッカールームに取りに帰った事があります。
えええ??
となったのですが、おじいちゃんが持って帰ってきたパスポートは、普通とは違う色でした。証明写真も凛々しい制服姿。何者なのでしょう。
筋トレをしながら、隣でトレーニンングをしている外人さんと英語でしゃべっているし(なんか嫉妬)。
というか、そんなに大事なパスポートを誇らしげにいつも持ち歩いていることが、すんごく愛らしい。
私はかってに、そのおじいちゃんを「キャプテン」とこっそり呼んでいました。
おじいちゃんとの聞き取れない会話の中、ノリで「キャプテン」と呼んでみたら、「からかうなよ」と言われたようなきがします(やっぱり聞き取れなかった)。
なんでこんな話が突然でるかというと、さっき借りて見ていたアニメのなかに、戦艦大和をなつかしむおじいちゃんの話がでてきまして、みょうにその話にシンクロして泣いてしまいまして、その原因は、そのキャプテンだったのかなあと。
この閉鎖されたジムの空間からでは想像もつけないくらいの世界を旅してきた、腰の曲がったキャプテン。
腰を良くしたいからジムにきていて、また海にでるからその為に腰を良くする運動をしているんだっていっていました(たぶん)。
キャプテンは猫を飼っていたみたいです。
猫が待っているから、と、夕方の4時くらいに放映される水戸黄門を歩きながら見終えたキャプテンは、家へと帰ります。
それも1年くらい前のはなしでしょうか。
猫が死んでしまった、といやに影のうすくなったキャプテンがやってきていいました。
でも家にいてもしかたないから運動しなきゃ、と。
それから2,3日後、キャプテンの姿をとんとジムで見かけなくなりました。
いろんな人と出会い、気づかぬままに別れがあります。
ほんとに、いろんな人、色んな家庭事情、色んな日常、色んな思い出を抱えた人がたくさんいるんだろうなあ。
キャプテン、あなたはその中でもかなりの世界を持った人だったんだろうなあ。
あ、多分キャプテンは、いまでも元気です。
1週間くらい前に、すれ違いましたから。
私には気づかなかったけど、相変わらず腰が曲がって小さくて丸かった。
たぶん、キャプテンの目には船の上からの海原しかうつっていないんだろうなあ。
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自分のことが誰かわからなかったら、致し方ないです(悲)
こんな絵を描くんですね!
なんていうか、表現しにくい・・・・
漫画チックな絵のような、親しみやすい絵のような!