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私の30歳のバースデーに、友人が写真集をくれた。
「未来ちゃん」 川島小鳥
子供の写真集か・・・なんてあなどって見たら、度肝を抜かれた。
いや、肝を抜かれた、というよりも、ハートを射抜かれた。
それと同時に、やはり、度肝も抜かれた。
「未来ちゃん」は2〜3歳の美人な娘だ。
写真の通り表情豊か。
服装もロケーションもおもしろい。
見る物のハートを射抜くだけなら、これだけで事足りるだろう。
だがしかし、この写真集を見ていると、懐かしい気分になるし、笑ってしまうし、楽しくて、ばっちくて、ちらかっていて、不思議な気持ちになる。
子供の写真でこれほどまでに心を動かされたら、そりゃあもう、度肝をぬかれたと言ってもいいくらいの衝撃だろう。
***
※川島小鳥さん(男性)へのインタビューの言葉を無断でここに転載します。(ごめんなさい)
「僕の写真はドキュメンタリーじゃないんです」
(インタビューアーが)どんな時にシャッターを切るか、川島さんに問うと「『未来ちゃん』という作品設定だから、彼女が未来ちゃんになったと思った時です」
***
そう、この子供は実在するけれども、「未来ちゃん」という名前の子供ではない。
これは「未来ちゃん」という設定で撮られたフィクションの写真集だ。
未来ちゃんは時に変な顔をし、時に特別愛らしい表情をつくり、ノスタルジックな街で暴れ回る。
フィクションとノンフィクションの境目。
いや、その境目を感じる事は出来なくて、だからその不思議さから、見る者にどんどん深い感情を呼び起こしていく。
ぜひとも、一度ご覧あれ。
いつでも見る事が出来そうで、しかし絶対に見られない表情をする子供の写真です。
「未来ちゃん」の世界は、雑多で、色々な物があふれていて、バカみたいな事もあって、楽しそうだなあ!
[4回]
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『光車よ、まわれ!』 天沢退次郎 著。
私の創作に関するイメージは、かなりメルヘン、というか、ファンタジーな世界からやってくる。
高校を卒業するまで、小説、と呼ばれる本には、殆ど手を付けていない。
そのかわり、本を読めるようになった頃から、ずっと、児童文学に浸っていた。
ムーミンに、ナルニア国物語に、アーサー王のお話。海底二万海里に、無人島で生活する話の本、ロビンフッド。はてしない物語に、モモ、ゲド戦記…
もちろん、思い出せない本も沢山あるのだが、お気に入りの本を何度も繰り返して読む事が多い。
ふと肌で季節を感じたとき、本の中のとある世界が、無償に恋しくなる。そしてまた図書館でその本を借りて、懐かしいあの世界に遊びにいく、という儀式みたいなものなのだ。
その中でも、雨の気配を感じたとき、ぎゅうと世界を閉鎖的な空間に変える雨模様の日、その度に何度も読みたくなる本がある。
「光車よ、まわれ!」
作者の天沢退二郎さんは、『日本の詩人、仏文学者、国文学者、児童文学作家、翻訳家。宮沢賢治研究の第一人者』だそうだ。
その人がかいた、児童文学のうちの一つ。「オレンジ党」シリーズも有名なのだが(それももちろん大好きだ)私の「雨」にかんする感性を磨いてくれたのは、まちがいなくこの本だろう。
物語は、全体的にダークトーン。
主人公は小学生達。
水たまりから現れるようになった黒い手。
そこからどんどん、主人公の周りには、雨と、『水の悪魔』、緑色の服に身を包む得体の知れない大人達が増え始める。
その怪異を打ち破る為にも、「光車」を探すのだ。
このあらすじだと、簡単な勧善懲悪のストーリーに見えるのだが、なんども遊びにいきたくなるような(恐いもの見たさで)、世界観が確立している。
さすが詩人さんだけあって、活字から色やにおいを浮かび上がらせる事が、天才的である。
ちなみにこの本は、図書館で借りるか、ネットで注文するかでないと手に入らない。
さらにちなみに、天沢退二郎さんは、アニメ映画『銀河鉄道の夜』にも関係しているようで、私はそれを知らずにあの映画が大好きだった。
なるほど、あの映画のトラウマになるようなダークトーンは、この「光車よ、まわれ!」と共通している部分があるのかもしれない。
[1回]
「ソラニン」 浅野いにお作
浅野いにお、という新鋭漫画家の名作。全二巻。
この漫画、10代後半〜大人とも言い切れない…と自称する方々にはぜひとも読んで頂きたい一作。
種田と芽衣子は大学時代の同級生。
芽衣子は大学を卒業とともに、OLとしてなんとなく、社会人2年目になる。
種田はもともとバンドをやっていて、今はデザイン事務所でアルバイトを続けている。
そんな二人は同棲中。
大人ってなんだろう。
このまま何かに目をつぶって、曖昧な「幸せ」に身をおくことだろうか。
…今、それに感じる矛盾を無視して?
彼らとその仲間達を取り巻く、すごく痛くて荒々しくて、切ない青春ストーリー。
あまりにもこの作品が訴える心情が、ビシビシと直接心に響いて、文章でどう表現してよいのかわかりません。
興味の湧いた人全員に、この漫画をよんでもらって、「わかるでしょ?」と訪ねてまわりたい。
1巻から2巻、この移り変わりも非常に心苦しくて、せつなくて、涙が自然とでてきてしまう。
なんでこんな漫画、描けるのだろう?
是非とも、興味のある方!!
ヤングサンデーコミックス 小学館 です。
[0回]
『崖の上のポニョ』 スタジオジブリ最新作
(写真はポニョ展のもの。ジブリ公式HPから無断で拝借。スイマセン)
※公開したてということもあり、まだ未見の方が大多数だと思うので、ネタばれを防ぐため、おおまかな感想です。
今や、誰もが知るスタジオジブリの最新作。
わたしのアニメ好きの原点は、ジブリ作品への愛から始まりました。
ジブリ作品が嫌いなひとなんて、そんなにいないとおもいます。
誰もが(ほんとに、子供から成熟した大人まで、アニメに興味ないひとからオタクまで)楽しめるエンターテイメントを作り上げている、スタジオジブリ。
しかし、ジブリ作品に期待をかけてしまうからこそ、実際の作品の内容が心配でたまらなくなる、裏切られたらどうしよう、という、それがファン心理でしょう。
もちろん、わたしもその気持ちで映画館へむかいました。
いえ、むしろわくわくしつつも、裏切られる事を覚悟で、殆どまったく期待をせずに見に行きました。
作画がすごくいい。
主人公達が、まっすぐ、強くていい。
子供の描写、海の描写、街の風景、すごくいい。
宮崎アニメは、やっぱりだれも不幸にならないことが、すごくいい。
駿さんの、抱えているテーマ、好きなヒト、好きなこと、好きなもの、全部をぎゅっとつめこんで、すごく楽しく作り上げたんだな!と感じました。
パンダコパンダを好きな方は、絶対好きです。
とにかく、わたしの期待を良い意味で裏切ってくれた作品です。
もちろん、ストーリーの面でなど、賛否は大きく別れていくとおもいます。
いやいや、そんなことは気にせず、見て感じて楽しんでください!
もしかしたら、まだ、アニメや映画や物語に偏見を持たない子供達が、この作品を見たら、生涯記憶に引っかかる、良い意味でのトラウマ作品になれるんじゃないでしょうか。
もし、私が小さな頃(ナウシカから紅の豚までの、初期の頃)にこれを見ていたら、1,2を争うぐらい好きな作品だったと思うので。
この作品のエネルギーをもってしてなら、スタジオジブリはまだまだ輝く!
そんな気がします。
以下、宮崎駿公式のポニョの解説をのせます。
ネタばれには殆どなってないとおもいます。が、ちょっとの情報もまだ見たくない方は、気をつけてくださいね。
海辺の小さな町
海に棲むさかなの子ポニョが、人間の宗介と一緒に生きたいと我儘をつらぬき通す物語。
同時に、5歳の宗介が約束を守りぬく物語でもある。
アンデルセンの「人魚姫」を今日の日本に舞台を移し、
キリスト教色を払拭して、幼い子供達の愛と冒険を描く。
海辺の小さな町と崖の上の一軒家。
少ない登場人物。
いきもののような海。
魔法が平然と姿を現す世界。
誰もが意識下深くに持つ内なる海と、波立つ外なる海洋が通じあう。
そのために、空間をデフォルメし、絵柄を大胆にデフォルメして、
海を背景ではなく主要な登場人物としてアニメートする。
少年と少女、愛と責任、海と生命、これ等初源に属するものをためらわずに描いて、
神経症と不安の時代に立ち向かおうというものである。
宮崎 駿
[1回]
「青い鳥」 作:メーテルリンク 訳:堀口大學
誰もが知っているこの題名、内容はご存知だろうか?
もちろん、パン屑をまきながら森の中を兄妹で歩く物語ではない。
(上記はグリム童話「ヘンゼルとグレーテル」)
まあ、貧しいきこりの家庭の兄妹…という設定までは一緒なのだが。
クリスマスの晩、チルチル、ミチルという兄妹は、突然現れた妖女に「娘の病気の為に青い鳥を探して欲しい」と頼まれ、おおきなダイヤモンドを渡される。
なんと、その妖女から譲り受けた大きなダイヤモンドを回転させると、物事の本質がよく見えるようになるのだ!
チルチル・ミチルの部屋でダイヤモンドを回転させたときに現れた、ランプの精「光」、パン屑の精「パン」、愛犬チローの精「イヌ」、猫の精「ネコ」、「火」「水」「砂糖」などと共に、青い鳥を探しに旅立つ。
一同は、青い鳥をもとめて、「思い出の国」「夜の御殿」「森」「幸福の楽園」「未来の国」を巡り歩くが、最終的に幸福の青い鳥がいたのは…?
という、オチはだれもが多分知っている物語。
作者メーテルリンクは、様々な比喩を用いて「本質」を描写する。
ものをはなせるようになった愛犬チローの台詞がうまい。
『坊ちゃん。おはよう。坊ちゃん。おはよう。とうとう、おはなしできるようになりましたよ。』
(チルチルがイヌをおとなしくさせるために、イヌを打つ)『あなたがお打ちになったから、よけいキスしなくっちゃ』(乱暴にチルチルにキスしたり、なめまわしたりする)
…このイヌの感じ、すごいわかる。
劇中、幸福についての哲学がちりばめられている。
なんとなく思っていても、言葉にして具現化できなかった哲学が、たくさん。
すごく古い作品だけども、ほんとに優れた文学。
物事をわかりかけてくる高校生ぐらいに読みたかったなあ、なんぞと思いました。
(しかし、兄のチルチルがずっとしゃべっているのに対して、妹ミチルがほとんど空気になっている件について、ずっとツッコミたかったです)
[1回]