「青い鳥」 作:メーテルリンク 訳:堀口大學
誰もが知っているこの題名、内容はご存知だろうか?
もちろん、パン屑をまきながら森の中を兄妹で歩く物語ではない。
(上記はグリム童話「ヘンゼルとグレーテル」)
まあ、貧しいきこりの家庭の兄妹…という設定までは一緒なのだが。
クリスマスの晩、チルチル、ミチルという兄妹は、突然現れた妖女に「娘の病気の為に青い鳥を探して欲しい」と頼まれ、おおきなダイヤモンドを渡される。
なんと、その妖女から譲り受けた大きなダイヤモンドを回転させると、物事の本質がよく見えるようになるのだ!
チルチル・ミチルの部屋でダイヤモンドを回転させたときに現れた、ランプの精「光」、パン屑の精「パン」、愛犬チローの精「イヌ」、猫の精「ネコ」、「火」「水」「砂糖」などと共に、青い鳥を探しに旅立つ。
一同は、青い鳥をもとめて、「思い出の国」「夜の御殿」「森」「幸福の楽園」「未来の国」を巡り歩くが、最終的に幸福の青い鳥がいたのは…?
という、オチはだれもが多分知っている物語。
作者メーテルリンクは、様々な比喩を用いて「本質」を描写する。
ものをはなせるようになった愛犬チローの台詞がうまい。
『坊ちゃん。おはよう。坊ちゃん。おはよう。とうとう、おはなしできるようになりましたよ。』
(チルチルがイヌをおとなしくさせるために、イヌを打つ)『あなたがお打ちになったから、よけいキスしなくっちゃ』(乱暴にチルチルにキスしたり、なめまわしたりする)
…このイヌの感じ、すごいわかる。
劇中、幸福についての哲学がちりばめられている。
なんとなく思っていても、言葉にして具現化できなかった哲学が、たくさん。
すごく古い作品だけども、ほんとに優れた文学。
物事をわかりかけてくる高校生ぐらいに読みたかったなあ、なんぞと思いました。
(しかし、兄のチルチルがずっとしゃべっているのに対して、妹ミチルがほとんど空気になっている件について、ずっとツッコミたかったです)
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